米中貿易戦争、新型コロナ感染症パンデミックを経て、国際政治経済の領域では「新冷戦」といわれるまでに緊張感が高まっています。世界経済の構造が大きく変わる中で、国家間で互いに不信感が募っています。しかも地球環境問題に見られるように、自然と人の関係も緊張感をはらみ、大きな転換点にあります。歴史は全く同じとは言えませんが繰り返す面があります。1世紀前の出来事は、間違いなく人が引き起こしたものでした。アジア、また東北アジアは、こうした悲惨な歴史を経験した地域でした。同じ轍は避けねばなりません。改めて国境を越えた相互の信頼を醸成し、それぞれの国や民族、宗教の枠を超えて助け合うことが求められているように思います。
東北亜未来構想研究所は、2020年10月、世界史に間違いなく記憶されるコロナ感染症パンデミック禍の中で発足しました。2020年は李鋼哲所長の還暦の年に当たり、李所長のアジアの共生と繁栄への強い思いが設立の契機になっています。李所長は中国の朝鮮族であり、中国の大学を卒業後、来日し、日本の国籍を持つに至った研究者です。そのアイデンティティは東北アジアの国境を跨いでおり、また人的なネットワークがあります。その財産を活かして、時代の課題に応えるために、確かな相互理解と信頼醸成を目指そうと同じ思いを持つ人々が集まりました。また、李所長の個人的財産を超えてその目的を果たそうとするのが本研究所です。
皆様方のご支援とご協力を心よりお願い申し上げます。
平川 均 理事長
2021年3月27日