本研究所は、東北アジア地域(環日本海地域)協力に関する研究・交流活動を行うための民間、非営利、独立型のシンクタンクを目指しています。東北アジアの未来に向けたビジョンを構想し、それに相応しい現実的な研究や調査など諸活動を行い、この地域の発展に貢献することを目的として、2020年10月1日に石川県金沢市にて、一般社団法人・東北アジア未来構想研究所(INAF, 代表理事 李 鋼哲)として登録し活動し始めました。
東北アジア地域は、約30年間の発展を経て、今や世界で注目される経済成長センターになっており、未来に向けても成長可能性が高い地域であります。戦後、この地域は冷戦対立の最前線に置かれておりましたが、冷戦崩壊とともに政治的・軍事的な対立を乗り越えた国際的な地域協力が注目され、様々な局地開発プロジェクト構想や経済圏構想が生み出され、国際交流が盛んになり、ヒト、モノ、カネ、情報やサービスが国境を越え行き来する地域に発展し、経済的な地域統合(ディファクト・インテグレーション)が急速に進展している地域であります。
しかしながら、近年の国際情勢の激しい変化するなか、今年の年初にコロナ・パンでミックスの発生とともに、この地域には暗雲が圧し掛かっており、東北アジア地域諸国の国際関係は緊張と対立が深まりつつあります。その根底にあるのは、急速に国力が強まる中国の勢力拡張に対して、覇権国アメリカによる貿易戦争で始まった覇権争いが、徐々にエスカレートし「新冷戦」の様相を呈しており、米中両大国に挟まれているこの地域の周辺国も巻き込まれ、先が見えない不安定な時代になりつつあることです。したがって、ポスト冷戦とグローバル化の時代に始まった東北アジア地域協力は困難を極める時代に入っています。
こうした時代であるにもかかわらず、このような研究所を設立して活動するのは、中長期的な視野に立って、未来ビジョンをもってこの地域の発展と繁栄に知的貢献をすべきだと考えているからです。「冬」だからこそ「春」は必ず訪れると強く信じ、東北アジアの6カ国出身の研究者や活動家の有志たちが集まり、国境や民族を超えた一つのチームとなり、情熱をもって「春」の到来を導く歴史的使命のために一緒に頑張ろう、そしてその歴史的使命を果たすために皆様の活躍場―フラット・フォームを提供することが、本研究所設立の趣旨です。
この法人は、以上の目的に資するため、次のような諸事業を行います。
- 東北アジア地域協力に関する研究交流会議の開催
- 朝鮮半島統一に関する研究交流会議の開催
- 東北アジア地域を中心とするアジア地域に関する喫緊の課題または共通課題に関する共同研究およびその成果に基づく政策提言
- 東北アジア地域における国際的な人材養成
- 東北アジア諸国の大学や研究機関への講師派遣
- ニューズ・レターの刊行や出版物の刊行
- その他、この法人の目的に資するための必要な事業
(文責:李 鋼哲 所長)