研究所概要

 本研究所は、東北アジア地域(環日本海地域)協力に関する研究・交流活動を行うための民間、非営利、独立型のシンクタンクを目指しています。我々が暮らしているこの地域の未来に向けたビジョンを構想し、それに相応しい現実的・実証的な研究・調査や多面的な国際研究・交流活動を通じて、地域の恒久的な平和・安定と繁栄のために貢献することを目的として、2020年10月1日に国内外の有志達のご協力により、一般社団法人として登録し活動を始めました。

 東北アジア地域は、冷戦崩壊とグローバリゼーションの波を乗って、1990年代初頭から国際的な経済圏構築の可能性が注目され、国境を越えた地域協力の時代に突入しました。日本では環日本海経済圏構築の機運が高まり、約30年間の発展を経て、今や世界で注目される経済成長センターになり、未来に向けても潜在的な成長力が高い地域として、UNDP(国連開発計画)など国際機関の協力も得ながら地域協力を進めてきました。

 しかしながら、この地域は地政学的に大国の利益が絡んでおり、歴史的にも現実的にも覇権争いが激しい、複雑な国際関係に翻弄されやすい地域でもあります。そのために国際情勢の変化の影響を受けやすく、国際的な地域協力は一進一退を繰り返さざるを得ない厳しい現実にさらされています。とりわけ、大国中国の経済力や国力の浮上に危機感を高めた覇権国アメリカによる貿易摩擦が2017年頃から始まり、それがエスカレートし、技術戦争や金融戦争に発展し、覇権争いの様相を呈しており、「新冷戦」とまで言われるような時代に入りました。米中両大国の覇権争いの中で、この地域は朝鮮半島や台湾海峡におけるリスクが高まっており、周辺国も巻き込まれ、先が見えない不安定な激動時代になりつつあります。

 こうした歴史的な激動期のなかで、我々が対応すべき課題は山積しております。人類が直面する課題より、人類の叡智による課題解決の方法が多いと思われます。そこで、このようなシンクタンクを設立しているのは、中長期的な視野、グローバルな視野、未来ビジョンをもって、この地域の発展と繁栄のためにお集まりいただいた知性人である皆様の知恵をもって、課題解決策を模索し、知的貢献をすべきだと考えているからです。

 「冬」の季節だからこそ「春」の季節は必ず訪れるという強い信念を持ち、東北アジア諸国出身の研究者や活動家たちが集まり、国境や民族を超えた一つのチームとなり、哲学と情熱をもって「春」の到来を導く歴史的使命のために一緒に頑張ろう、そしてその歴史的使命を果たすために皆様の活躍のためのプラット・フォームを提供することが、本研究所設立の趣旨です。

 この法人は、以上の目的に資するため、次のような諸事業を行います。

  • 東北アジア地域協力に関する研究交流会議の開催
  • 朝鮮半島統一に関する研究交流会議の開催
  • 東北アジア地域を中心とするアジア地域に関する喫緊の課題または共通課題に関する共同研究およびその成果に基づく政策提言
  • 東北アジア地域における国際的な人材養成
  • 東北アジア諸国の大学や研究機関への講師派遣
  • ニューズ・レターの刊行や出版物の刊行
  • その他、この法人の目的に資するための必要な事業

 (文責:李 鋼哲 所長)